前回は「海辺の美術館のアイデア〜高い公共性を持つ建築・海と一体となる展示空間・海や光の変化がもたらす内部空間の変容〜」の話でした。
海と都市に開かれた海辺の美術館:建築がもたらす「高い公共性」

海辺の計画地において、周辺の広場などと共に計画を求められた「海辺の美術館」を設計しました。
・揺らめく自然
・有機的ヴォイド
・道空間
・都市広場
・多様なる共生
私たちが、日頃から「デザインのプリンシプル」としている「5つのフォロソフィー」を盛り込もうと考えました。

海辺には広場を配置して、
広場と建築が呼応するイメージです。


コンクリート打ち放しの大きな壁面を放射状に配置して、それぞれの展示空間を作りました。


壁と壁によって生まれる内部空間は、海に開き「無限の奥行き」が感じられる展示空間となります。


このプロジェクトを端的に示したドローイングが、上の絵です。



出来るだけ要素を削ぎ落として、
シンプルにしたドローイングです。


要素を削ぎ落とすことで、コンセプトがよりクリアになります。
設計プロセスにおいて、頭に描いていたコンセプトを実際に描いてみることで、



アイデアやコンセプトは
より先鋭化されます。
建築の成り立ちを表現するドローイング


さらに、今回は「建築の成り立ち」を説明するドローイングを作成しました。
はじめに、「10枚の大きなコンクリート打ち放しの壁面」があります。


これらの独立した10枚の大きなコンクリート打ち放しの壁面を、より大きな円弧の壁面が貫きます。
海側には大きく開く一方で、都市側には大きな壁面を立てて、都市に開きながら、空間を文節します。


そして、10枚の大きな壁面の間に生まれる「9箇所のボリューム」から「8箇所のボリューム」を選び、



内部空間=展示空間として、
建築空間を作り出します。


最後に、10枚の壁面の上部に貫入するような円弧状のボリュームを配置して、レストランとしました。


「形が大事」である建築デザインですが、「形の根幹のコンセプト」を突き詰めて行きたいと考えています。
コンセプトモデルも良いですが、このような「デザインのテーマ」を取り出したコンセプト・ドローイングを描き、



リアルなCGや模型を見るのとは、
だいぶ異なる視点を具現化します。
コンセプト・ドローイングを作成しながら、今後も設計を進めてゆきたいと思います。