前回は「「世界の最先端文明との結節点」だった種子島〜雄大な海が広がる「鉄砲伝来の地」門倉崎・日本古来の木造建築技術と鉄砲の国産化〜」の話でした。
二つの卵型ドームの福井県立恐竜博物館
昨年2023年7月にリニューアルオープンを迎えた福井県立恐竜博物館。
2000年7月に開館した、この建物は黒川紀章氏の設計です。
この「恐竜の卵」をイメージした造形は非常に分かりやすく、学生時代に知った時は、
「恐竜の卵の建築デザイン」は
少し大味なのでは・・・
「デザインとして少し大味かな」と感じたのが事実でした。
デザインのモチーフとして、「分かりやすい造形」を選択する傾向があった黒川紀章。
個人的には、黒川紀章氏の建築はとても好きです。
福岡銀行本店はコンセプトが明快で、「銀行」という建築にも関わらず、大きな試みがなされています。
「銀行」に「銀行にようのない方も憩える広場」をデザインした黒川紀章。
そのデザインコンセプトを生み出す力は卓越していました。
子どもがとても恐竜が好きで、この恐竜博物館のことを何かの本で知り、
この恐竜博物館に
行ってみたい!
ずっと「行きたい」と言っていました。
そこで、リニューアルオープンを機に、子どもと一緒に訪問しました。
開館からちょうど23年後に「大きな卵型ドーム」に「小さな卵型ドーム」を付け加えたデザインです。
この「類似のデザインを付加する」発想は、
まさしく、黒川紀章のメタボリズムの
発想で分かりやすいな・・・
かつて大ブームとなった「メタボリズムそのまま」と思いました。
かつては「分かりやすすぎるのでは」と思った「恐竜の卵型ドームのデザイン」ですが、車で近づくと、
あっ!
あの卵の博物館だ!
子どもは「卵型ドームの建築」に気付きました。
少し小高い山の中にある福井県立恐竜博物館は、この卵型ドームが勝山市内の道路からよく見えます。
この「子どもでも分かるイメージ・アイコン」という意味では、とても良いと思いました。
運転していたのは僕ですが、僕も遠くに「卵型ドーム」を見て、
恐竜博物館と勝山市の
シンボルとして、とても良いデザインだな。
「シンボルとしての建築デザインとして良い」と思いました。
この「卵型ドーム」のアイデアは建築デザインとして、とても良いと思いました。
こういうことに気づくのは「実際に見に行く事」の醍醐味です。
この点では学生時代の考えとは大きく変わり、「卵型ドーム」に好感を持ちました。
卵型ドームの雄大な展示空間と「巨大な恐竜の世界」
早速、子どもと一緒にエントランスを入ると、巨大な吹き抜け空間をエスカレーターで下がります。
まさに「恐竜の世界」に入ってゆくイメージです。
トップライトは、黒川氏がよく使う円錐形のデザインで、丸い穴から自然光が降り注ぎます。
途中に様々な展示があり、進んでゆくと「大卵型ドーム」の中に入りました。
あっ!
たくさん恐竜がいる!
科学博物館などでも恐竜の展覧会を見てきましたが、
こんなにたくさんの
恐竜は、初めてだよ!
子どもは大興奮です。
「恐竜の卵型ドーム」の外観も良いですが、「卵型ドーム」の内観は巨大な卵の中にいる気持ちです。
他に多くの恐竜の骨格などに出会える博物館はありますが、数だけでなく展示空間も大事です。
この福井県立恐竜博物館の唯一無二の「巨大な卵型ドーム」の展示空間は圧巻です。
「恐竜の世界」にいる
気持ちが、子どもにも大人にも心地よいです。
増築された小卵型ドーム
とにかく恐竜、恐竜の展示が続き、子どもたちは、
とても
広い博物館だね!
広い展示室の「恐竜の世界」に大興奮でした。
展示空間の広さでは、上野の科学博物館の方が広いですが、
「恐竜の世界」が具現化した
ような展示空間は、とても良いです。
新たに付け加えられた「小卵型ドーム」の内部空間も、「卵らしさ」が際立っています。
増築された「小卵型ドーム」は展示空間と共に、収蔵庫となる部分が多いです。
道路から見える「大卵型ドーム」は、「卵の存在」が非常に際立っています。
周辺では化石発掘体験などもでき、建物だけでなく博物館の敷地全体が「恐竜の世界」です。
展示された多数の恐竜の骨格たちだけでなく、「恐竜の世界」を満喫できる博物館。
それは、まさにこの福井県立恐竜博物館だけだと思います。
恐竜のことが
色々と分かるね!
子どもたちの「学びへの意欲」を大いに刺激する展示空間です。
リニューアルオープンして、さらに楽しみが増えた福井県立恐竜博物館を訪問してください。
次回は下記リンクです。