前回は「教会の新築計画・設計コンセプト〜人々を惹きつける強い光を持つ空間・要素を削ぎ落とした立面図・コンセプトドローイング・際立つコンクリート打ち放しの円弧壁〜」の話でした。
柱の森の建築・Villa-M
今回は、柱の森の建築・Villa-Mの話です。
木造住宅のリノベーションのプロジェクトで、元は数多くの部屋に分かれていました。
リノベーションの機会に、広いリビングと「減築」を考慮して、吹抜をデザインしました。
元々、数多くの部屋に分かれていたため、数多くの柱が登場します。
構造的に撤去できる柱も
ありましたが・・・
もともとの建築空間と歴史を活かすために、
柱はそのままとするデザインです!
昔の日本の住宅には、広い居間などに「大黒柱」という太い柱がありました。
その「大黒柱」が建築全体の構造の要の役割もしていました。
〜は、この家の
「大黒柱」だ!
「大黒柱」が「肝心要の人物」という形容詞になるほどでした。
現代の木造戸建住宅では、集成材の発展もあり「柱が露出することは少ない」傾向があります。
そこで、今回は「既存の柱」を「柱の森」に見立てて、積極的に活用するデザインにしました。
柱と人の動き:空間に変化を与える柱
多い場所では、柱は半間(910mm)ピッチで現れます。
柱は空間に秩序を与えますが、これほど多くの柱があると「柱の森」のように感じられます。
空間の中を人が動き回ると、柱によって見え隠れします。
ちょうど柱の向こうに人がいるときは、人の身体の一部のみが見えて、不思議な感覚になります。
柱と人の新たな関係が生まれると考えます。
「柱の森」の中を人が行き来するとき、柱に手をつくこともあります。
こうして、多数の柱の向こうにいる人を眺めていると、建築空間なのに模型のようにも感じられます。
人の動きが建築空間を活性化します。
生まれ変わる建築空間
リノベーションのプロジェクトでは、「既存の空間・素材を活かして再生」することを考えます。
今回、全て残した既存の柱は、列柱のように並びます。
わずか半間(910mm)の間を人が歩きます。
住宅のスケールでは「半間(910mm)幅」の廊下などの空間があります。
このリビングの中の「林立する柱の間の空間」は、道空間のようになって空間が活性化します。