前回は「「一枚の絵」でコンセプトを表すこと〜デザインの根幹と先鋭化・初めての計画地訪問とコンセプト・広大な公園と豊かな自然〜」の話でした。
公園の自然の上を空中散歩するイメージ

東京都杉並区に計画された、蚕糸の森アパートメント。
かなり規模が大きい公園の目の前であり、非常に恵まれた立地でした。

公園にも様々なタイプや規模がありますが、広大な池がある蚕糸の森公園は、四季折々の風情が感じられます。

計画地を訪れて、すぐに「公園の自然を建築に取り込む」ことをテーマにしました。

そして、そのコンセプトを「一枚の絵」で表現したドローイングが上の絵です。
まるで公園の自然の上を空中散歩するようなイメージで、デザインを進めました。

4階建で計画され、最上階に登って行くにつれて、公園の自然の風景が様々変わるイメージです。
「光と影が織りなす」空間イメージとドローイング

今回は、「光と影が織りなす」イメージをドローイングで表現する話です。
公園の自然を取り込み、大きなガラスによって共用空間から、いつも公園の自然を見ることが出来ます。
「見ることが出来る」のは、「自然光がある」ことが理由です。
日常生活において、自然光は「存在するのが当然」であり、なかなか意識することがありません。
太陽の光によって生まれる自然光は、太陽の位置によって光の方向や強さが変化します。
光の方向、強さ、色味
自然光が変化する要素は様々考えられますが、私たちは上の三大要素をデザインに取り込むことを目指しています。
最も分かりやすいのが、自然光の向きの変化です。
これは、太陽が東から昇り、南中して、その後西へ沈んでゆくプロセスにおいて、時々刻々変化します。

そして、蚕糸の森アパートメントの共用階段において、自然光を描いたのが上のドローイングです。
「明るく照らす」反面、「影を生み出す」のが自然光です。
この自然光による「光と影が織りなす」空間イメージもまた、デザインの根幹の一つでした。