木造梁とコンクリート打ち放し壁面の共生〜先鋭化するコンセプト・木造梁とコンクリート打ち放し壁面の共生〜|Twin-Arc2・ドローイング

前回は「木造大空間の美術館〜中心がずれた二枚の円弧壁による空間の揺らぎ・打ち放しコンクリートと自然光・地震力を負担するコンクリート壁面〜」の話でした。

目次

木造梁とコンクリート打ち放し壁面の共生

New Architecyral Voyage
Twin-Arc(新建築未来紀行)

中心がズレた、木造の大きな円弧の壁面二枚によるTwin-Arcの空間。

デザイン・アイデアの5つのフィロソフィー:YDS

・揺らめく自然

・有機的ヴォイド

・道空間

・都市広場

・多様なる共生

このデザインでは「多様なる共生」は、重要なテーマでした。

周囲の自然に溶け込むようなデザインを考え、自然との共生と融合を目論みました。

New Architectural Voyage
Twin-Arc(新建築未来紀行)

木造の大空間を、梁せいの大きな集成材の梁によって空間を支持します。

大規模木造に関しては、近年技術開発が大きく進んでいますが、「地震には弱い」面がある木造。

この美術館のデザインでは、地震力を鉄筋コンクリートの壁面が負担する構造コンセプトです。

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Twin-Arc:Concept Drawings(新建築未来紀行)

このデザインコンセプトを示したのが、上のコンセプト・ドローイングです。

二枚の円弧壁を支える木造梁、コンクリート打ち放しの壁面を抽出しました。

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Twin-Arc:Concept Drawings(新建築未来紀行)

二枚の円弧壁が木造である点も重要ですが、円弧壁による空間は「半透明」で示しています。

このコンセプト・ドローイングによって、「木造梁とコンクリート打ち放し壁面の共生」を表現しました。

空間デザインのプロセスと素材の抽象化:先鋭化するコンセプト

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Twin-Arc:Concept Drawings(新建築未来紀行)

そして、このデザインが生まれるプロセスを、コンセプト・ドローイングで表現しました。

まずは、「二枚の木造壁」がデザインの原初となります。

ここで、「二枚の木造壁」の「木造の素材・質感は抽象化」しました。

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Twin-Arc:Concept Drawings(新建築未来紀行)

「二枚の木造壁」は「二枚の壁」の表現となり、そこに、木造の特大大梁が掛かります。

上のドローイングによって、空間の根幹である木造の大梁を際立たせています。

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Twin-Arc:Concept Drawings(新建築未来紀行)

「二枚の壁」の両者を接続して、空間化しました。

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Twin-Arc:Concept Drawings(新建築未来紀行)

最後に、五枚のコンクリート打ち放しの壁面が円弧壁を貫き、デザインが完成します。

「二枚の木造壁」を木の質感とすると、上のコンセプト・ドローイングが「ぼやけてしまう」と考えます。

Yoshitaka Uchino

素材の抽象化は、
コンセプト・ドローイングを純化します。

多数のコンセプト・ドローイングを作成する中、「素材の抽象化」は先鋭化してゆくと思います。

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