前回は「都市空間に刺激を与える複合建築〜都市のアクティビティを建築へ・都市の有機的ヴォイド・「都市の余白」が生み出す未来〜」の話でした。
デザインのプロセスをドローイングで表現:発想を形に投射

ガラスのボリュームが三層重なる構成でデザインしたコンサートホール、美術館、商業施設の複合施設です。
「都市のアクティビティを建築へ埋め込む」イメージで設計しました。
・揺らめく自然
・有機的ヴォイド
・道空間
・都市広場
・多様なる共生
3つのガラスのボリュームが相互に生み出す余白が、有機的ヴォイドとなり、都市空間に働きかけます。
そして、都市の風景が、ガラス面に映り込み、多様なる共生を生み出します。
今回は、デザインの発想をドローイングで表現します。

コンクリート打ち放しの強固なコンサートホールが、「建築のコア」として配置されます。

その周囲に、フォワイエの空間が取り巻きます。

フォワイエの空間が一気に広げられて、平面形状を正方形から菱形に変容させました。

さらに、このフォワイエの空間を広げる操作を、平面上一辺を固定して行い、別のヴォリュームが生まれました。

これら2つのヴォリュームを積層・スタックさせて、建築の形が少しずつ出来てきました。
その後、ボリューム模型で様々なスタディを進めながら、3つ目のボリュームを検討しました。
その結果、3つ目のボリュームは、1つ目のボリュームと同一の形状としました。

これらの3つのボリュームを積層させ、出来るだけ柱の本数や大きさを抑えて、構造設計しました。

「ガラスの箱」を実現するために、
鉄骨の柱は、出来るだけ補足しました。
そして、シンプルなガラスの建築が生まれました。
透明度の表現と空間構成


今度は、コンセプト・ドローイングを作成して、この建築のデザインの根幹を表現しました。
中央の「建築のコア」となる、コンクリート打ち放しのボリュームは、濃く表現しました。


コンクリートのボリュームの周囲につくったガラスの箱は、透明度を上げて表現しました。



透明度によって、
空間構成を明確に表現しています。


線画で表したのが、上のドローイングです。


線画では、素材の強さを表現するのが難しいですが、シンプルで分かりやすいドローイングです。
これらのイメージを頭に浮かべながら、スケッチしたり、スタディ模型を作成しながら、設計を進めてゆきました。
そして、途中から、これらのコンセプト・ドローイングを作成して、デザインを深化させてゆきました。