前回は「コンクリート打ち放しの多様な住まい〜正方形断面の柱梁均等グリッド・コンクリートの均等グリッドが生み出す透明感〜」の話でした。
正方形断面の柱梁の打ち放しコンクリートによる抽象化:近づく立面と断面

コンクリート打ち放しの正方形断面の柱・梁による均等グリッドの集合住宅Crystal。
・揺らめく自然
・有機的ヴォイド
・道空間
・都市広場
・多様なる共生
今回のテーマは、揺らめく自然と都市広場です。
正方形断面の柱と梁は、そのコンクリート打ち放しの質感によって、自然を異化します。
人工物であることが明確なコンクリート打ち放しは、抽象化することで自然と一体となります。

今回は、その「コンクリート打ち放しの柱梁」を主に抽出して、コンセプトドローイングを作成しました。
床は、透明なボリュームで作成しています。

均等グリッドは、その均質さによって空間を一気に抽象化します。
そして、その抽象化された空間を表現するために、出来るだけ要素を削り落としたドローイングが重要です。

こうして、柱梁の均等グリッドを抜き出すことで、空間の構成が明確にわかります。

均等グリッドの立面図のコンセプト・ドローイングが上の絵です。
こうして、抽象化すると立面図と断面図が同一に近くなってゆく傾向があります。
コンクリート打ち放し均等グリッドのコンセプト・ドローイング

全体平面図のコンセプト・ドローイングが上の絵です。
モデルを上から見たコンセプトドローイングは、各階の床面が積層されます。
そして、透明度の高いボリュームで作られた床面は、その積層の度合いによって、濃淡が分かれてゆきます。
このドローイング一枚で、スラブ・床面の全体構成が分かります。

線画のコンセプト・ドローイングは、空間をさらに抽象化します。
線画は陰線処理する場合もありますが、陰線処理しないことで、空間に奥行きが生まれます。

柱梁の均等グリッドの一部を拡大したコンセプト・ドローイングが上の絵です。
まるで、「柱と梁の宇宙」のようなドローイングです。
今回の建築のデザインの根幹を明瞭に示しています。
このような、デザイン・コンセプトを雄弁に語るコンセプト・ドローイングを大事にしたいと思います。