前回は「コンクリート打ち放しの多様な住まい〜正方形断面の柱梁均等グリッド・コンクリートの均等グリッドが生み出す透明感〜」の話でした。
ルーバーによって顕在化するデザイン:太陽光の適切な制御と建築

今回は、オフィスビルのデザインの話です。
「オフィスビル」は、ガラス張りのデザインが多く、近年東京駅周辺などで多数見受けます。
クリスタルのようなシンプルなガラスのボリュームによってデザインされることが多い、オフィスビル。
私たちは、ここで「ガラス張り」ではないオフィスビルを考えました。
ガラス張りのオフィスビルは、様々な検討がされていますが、省エネの点で大きな問題があります。
省エネに関しては、ガラスにフィルムを貼ることで太陽光の制御を行うことが多く、一定の効果があります。
ここで、私たちは、建築物の外皮にルーバーを張り巡らせることで、太陽光を適切に制御することを考えました。
さらに、これらのルーバーによって、建築のデザインを顕在化させることを考えました。
・揺らめく自然
・有機的ヴォイド
・道空間
・都市広場
・多様なる共生
今回のプロジェクトでは、私たちの5つのフィロソフィーのうち、揺らめく自然をテーマとしました。

このオフィスビルで、働く全ての方々が快適に仕事に集中できるような、シンプルで機能的な空間が求められました。
さらに、会社の信念を体現するサステナビリティーの実現が求められました。
都市において際立つ特徴的な、新たなサステナビリティーを具現化するデザインを考えました。
その一つのデザインの解決方法が、「ルーバーによって包まれた建築物」でした。
構造要素にもなるルーバー:「ひねり」によって構造強度アップ

光を遮り、エネルギー効率を高め、構造にも寄与するルーバーが建物を包み込みます。
太陽の動きを考慮し、効率的に日光を遮るようにルーバーはひねられます。
これらのルーバーは、構造の要素にもなっています。
ルーバーはひねられることにより構造的な強さを増し、内部の柱を減らすことが出来ます。

ルーバーは建物を巣のように包み、オフィスに適切な自然光をもたらします。
そして、都市への眺めを保ちつつ、太陽光を遮ります。

ひねられた形状のルーバーは、計画地における日照のデータに基づいて、最適解を求めました。
単なるデザインを超えて、物理的に太陽光を最も制御できるようにデザインされたルーバーです。

低層階から階を上がるにつれて、内観から見える光景が大きく変わります。

ひねられたルーバーによって、眺望は少しずつ開いたり、少しずつ閉じたり、様々に風景が変容します。

上の内観パースは、デザインの根幹を説明するために、出来るだけ要素を落としています。
新たなコンセプトによる斬新なシルエットであり、省エネ効果が最大限発揮されるデザインです。
この会社のミッションを発信し、都市の新たなシンボルとなるでしょう。
