前回は「堀に映り込む天守閣が優美な今治城〜揺らぐ堀の水面と静謐な水面・瀬戸内海とつながる今治城の堀・揺らめく水面の理由〜」の話でした。
目次
「堀の水面に建築が映り込む」計算と設計手法

広い堀の水面に映り込む姿が優美である今治城。
日本三大水城
・今治城
・高松城
・中津城
日本三大水城の一つである今治城は、「日本の水城の筆頭」と言っても良いでしょう。

すぐ近くの瀬戸内海と「実際に接続している」今治城の堀。
潮汐によっては、海水が流入する時間もあり、堀の水は日々入れ替わっています。

堀のすぐ脇に天守閣などの建築があるため、絶妙に水面に建築が映り込みます。
1602年に建築された今治城。
1603年から江戸時代が始まるため、戦国時代と江戸時代の狭間に生まれました。
現在の今治城は再建ですが、当時の資料から縄張が厳密に判断されて再建されました。
そのため、今治城の建築と堀の配置は、当初とほぼ同一と考えます。
まるで「堀の水面に建築が映り込む」ことを計算して設計したように感じます。
この「水面に建築が映り込む」ことを計算してデザインすることは、現代建築ではよく為されます。
その点から考えても、今治城の設計は「水面のある建築の設計」の優れた例と言えます。
「水面に映り込んだ建築」そのものが建築である今治城:揺らめく建築

こうして、水面に映り込む天守閣などの建築のみを見てみると、不思議な感覚になります。
まるで、「水面に映り込んだ建築」そのものが建築であるようにも見えます。

海水の流入もあり、常にゆらめいている堀の水面では、映り込む建築の表情も刻々変化します。

位置や時間によって、建築がうっすら映り込んでいたり、ある程度ハッキリ映り込んで至り、様々です。
まさに「水面の建築」である今治城。
愛媛県訪問の際には、ぜひ訪問してみてください。
