リノベーションの構造設計と昔の家の構造〜法規制と大工の感覚・既存の構造を最大限活かす姿勢・耐震補強と接合金物〜|練馬の家5・東京の建築設計

前回は「リノベーションのポイントと解体して分かること〜既存構造の部分的補強・大事な構造の補強と改修・梁とデザインコンセプト〜」の話でした。

目次

リノベーションの構造設計と昔の家の構造:法規制と大工の感覚

練馬の家:筋交工事(新建築紀行)

解体工事が完了し、いよいよ本格的なリノベーション工事開始です。

まずは軸組・構造の補強です。

昔の木造住宅は、建築家・設計者が図面で検討するのではなく、「大工さんの感覚」で筋交を入れていることが多いです。

この「大工さんの感覚」は、合理的な面が結構あります。

ここは、
こういう考え方で、筋交を入れたんだろう・・・

一方で、現行の建築基準法に出来るだけ合わせるように工夫することが大事です。

古い軸組の筋交は、少し断面が小さめだったり、
接合部が少しいい加減なことが多いです。

中には、

え?
これでいいの?

と思ってしまうくらい、接合部が脆弱な場合があります。

そういう場合も含めて、出来るだけ耐震性を高められるよう補強します。

既存の構造を最大限活かす姿勢:耐震補強と接合金物

練馬の家:筋交工事(新建築紀行)

外壁部分の筋交新設・交換は、
難しいことが多いです。

それは外壁面の柱・梁・筋交等の木材は外壁の下地とくっついているので、取り外すのが大変な場合が多いからです。

取り外そうとすると、外壁や下地まで傷めてしまう可能性があります。

現場で念入りに確認して、ベストな対処をします。

新たな筋交を入れたり、既存の筋交のまま活かす場合も接合金物をつけて耐震補強します。

練馬の家:金物工事(新建築紀行)

木造建築の本来の考え方は、「地震力をしなやかに受けて力を受け流して、倒壊や損傷を免れる」です。

この考え方は、鉄筋コンクリートの硬い「剛構造」に対して、「柔構造」と呼ばれます。

この構造的な考え方は、木造の良さを活かしており合理的です。

一方で、建築基準法に合わせて接合部を強固にする事も大事です。

既存の軸組を活かして、
再生することを心がけています。

この考え方が、リノベーション設計のポイントです。

次回は、柱と梁を全体的に確認します。

竣工写真は、下記サイトをご覧下さい。

新建築紀行

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